専攻科(母子看護学専攻)の学び LEARNING
教育理念
埼玉医科大学短期大学の教育の基本姿勢は、一般社会人としての幅広く豊かな教養と良識を持ち、生命に対する深い畏敬の念と人類愛を持って、積極的に社会に貢献できる人材を育成することである。母子看護学専攻の教育は医療全般にわたる広範な視野と高い見識を持ち、急速かつ多様に変化しつつある社会状況を的確にとらえ、対象者および家族・地域に対して母子看護専門職としての社会的役割を担う人材を育成することである。 さらに、本学は高度周産期医療機関であり地域医療の中核的役割を担っている埼玉医科大学病院に併設しているため、高い専門性を活かし専門的指導的役割を果たせる人材を育成しなければならない。
教育目的
看護基礎教育を基盤として、母子看護学に関する教育研究活動を通し、専門的知識と技術を深く身に付け、社会に貢献できる助産師を養成する。
教育目標
- 広範な視野と高い見識を持った社会人になる。
- 多様に変化する社会状況及び価値観を的確にとらえ、高い専門性と指導的役割を担い生涯に亘って社会に貢献できる母子看護専門職業人になる。
- 母子看護専門職として周産期医療の水準・向上に貢献できる人となる。
三つの方針
ディプロマポリシー
専攻科の課程を修め、授業科目区分毎の所定の単位を修得し、且つ修了要件の32単位以上を修得したものには、全ての女性および周産期にある母子とその家族に対して健康を支援し、地域母子医療・保健の向上に寄与できる助産師に相応したことを認め、修了を認定する。
ディプロマポリシーと教育内容
学修成果 | 教育内容 | |||||
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基礎助産学 | 助産診断・技術学 | 地域母子保健 | 助産管理 | 助産学実習 | ||
1.広範な視野と高い見識を培う能力 | (1)生命に対する深い畏敬の念と人類愛を持つ。 | ◯ | ◯ | |||
(2)倫理観を持った行動ができる。 | ◯ | ◯ | ||||
(3)社会情勢の変化を的確にとらえる。 | ◯ | ◯ | ◯ | |||
2. 高い専門性を持った実践能力を培う能力 | (1)女性の一生と家族のライフサイクルの健康を支援する。 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
(2)高度周産期医療に対応する知識を持つ。 | ◯ | ◯ | ◯ | |||
(3)科学的思考を持ち総合的に判断する。 | ◯ | ◯ | ◯ | |||
3. 地域の医療水準の発展に貢献する姿勢を培う能力 | (1)社会資源を活用し、保健医療福祉の向上に貢献する。 | ◯ | ◯ | ◯ | ||
(2)保健医療福祉チームの一員として多職種と連携し協働できる。 | ◯ | ◯ | ◯ | |||
4.助産師としての専門的自立能力を培う能力 | (1)生涯学習を行い自己研鑽する。 | ◯ | ◯ | |||
(2)課題意識を持ち研究を行い、成果を活用する。 | ◯ | ◯ |
学修成果
- 広範な視野と高い見識を培う能力
- (1)生命に対する深い畏敬の念と人類愛を持つ。
- (2)倫理観を持った行動ができる。
- (3)社会情勢の変化を的確にとらえる。
- 高い専門性を持った実践能力を培う能力
- (1)女性の一生と家族のライフサイクルの健康を支援する。
- (2)高度周産期医療に対応する知識を持つ。
- (3)科学的思考を持ち総合的に判断する。
- 地域の保健医療福祉水準の発展に貢献する姿勢を培う能力
- (1)社会資源を活用し、保健医療福祉の向上に貢献する。
- (2)保健医療福祉チームの一員として多職種と連携し協働できる。
- 助産師としての専門的自立能力を培う能力
- (1)生涯学習を行い自己研鑽する。
- (2)課題意識を持ち研究を行い、成果を活用する。
カリキュラムポリシー
女性と子どもの健康的な生活を支援するための基本理念と知識、周産期にある母子と家族のケアに必要な助産診断と実践のための基礎的能力を修得し、地域社会に貢献できる助産師を養成する教育課程を編成する。
人間と生活・社会の理解 | 健康支援と社会保障制度 | 看護の統合 | |
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科学的思考力およびコミュニケーション能力を高め、感性を磨き、自由で主体的な判断と行動をする能力、人間と社会の仕組みを幅広く理解する能力、社会の変化に対応する能力を養います。 | 科学的根拠に基づいて看護を実践するための基礎的能力を養います。 健康・疾病・障害の状態に応じた社会資源を活用するための基礎的能力を養います。 | 保健・医療・福祉システムの中で、専門職として看護の独自の機能と役割を理解し、個々の対象の状況に応じた看護実践に必要な基礎的能力を養います。 広い視野に立ち、社会情勢の変化に目を向け、主体的に看護を追究する姿勢を養います。 | |
1年次 | 生涯発達論 教育学 ヒトの生物学 社会人基礎Ⅰ(野外活動) 社会人基礎Ⅱ(ボランティア活動) コミュニケーション英語Ⅰ 社会学 法学 物理学の基礎 化学の基礎 情報科学 | 人体の構造と機能Ⅰ 生化学 微生物 栄養学 疾病治療論Ⅰ 人体の構造と機能Ⅱ 薬理学 病理学 疾病治療論Ⅱ 疾病治療論Ⅲ 社会福祉 関係法規 健康と運動 | 看護概論 地域・在宅看護概論 成人看護概論 老年看護概論 看護の方法Ⅰ(看護実践の基盤となる技術) 地域・在宅看護実習Ⅰ(地域で暮らす生活者の理解) 看護の方法Ⅱ(日常生活行動への援助技術) 地域・在宅看護Ⅰ(地域で暮らす生活者の看護) 成人看護Ⅰ(慢性期看護) 小児看護概論 母性看護概論 精神看護概論 看護倫理 看護方法Ⅲ(看護過程の活用方法) 基礎看護実習Ⅰ(看護師の役割の理解) 看護の方法Ⅳ(病理的状態に応じた日常生活行動への援助技術1) |
2年次 | 心理学入門 統計学入門 健康スポーツ 哲学 現代社会と心理学 文学 論理学の基礎 ドイツ語の基礎看護 コミュニケーション英語Ⅱ | 疾病治療論Ⅵ 疾病治療論Ⅶ 公衆衛生学 疾病治療論Ⅳ 疾病治療論Ⅴ | 看護の方法Ⅴ(病理的状態に応じた日常生活行動への援助技術2) 看護の方法Ⅵ(看護過程を活用した日常生活行動への援助の方法) 基礎看護実習Ⅱ(基本的欲求の状態に応じた日常生活行動への援助) 地域・在宅看護Ⅱ(地域で生活する療養者と家族への看護) 成人看護Ⅱ(周手術期看護) 成人看護Ⅲ(がん看護) 老年看護(高齢者の心身機能の変化と生活機能を支える看護) 母性看護(周産期にある対象とその家族への看護) 小児看護(発達段階と健康レベルに応じた子どもと家族の看護) 地域・在宅看護技術 成人看護技術 老年看護技術 小児看護技術 母性看護技術 精神看護Ⅰ(精神障症状に応じた看護) 精神看護Ⅱ(精神障害をもつ対象への看護) 看護管理 災害・救急看護 看護学セミナー 国際医療福祉事情 |
3年次 | 地域・在宅看護実習Ⅱ(在宅療養者の看護) 成人・老年看護実習Ⅰ(急性期看護) 成人・老年看護実習Ⅱ(慢性期もしくは終末期看護) 老年看護実習Ⅰ(入院を必要とする高齢者の看護) 老年看護実習Ⅱ(多様な場で生活する高齢者の看護) 小児看護実習Ⅰ(入院を必要とする子どもの看護) 母性看護実習 小児看護実習Ⅱ(地域で生活する子どもの看護) 精神看護実習 統合実習 看護技術の統合 看護研究 |
- 基礎助産学:女性と子どもの健康を支える基本理念と知識・技術を養う。
- 助産診断技術学:助産学領域における専門的な実践能力を養う。
- 地域母子保健:地域の特性を知り、助産師として多職種と協働できる能力・態度を養う。
- 助産管理:助産管理者として必要な基礎的知識と能力を養う。
- 助産学実習:知識を統合し、ウエルネスもしくは問題解決の視点で助産過程を展開できる能力を養う。
アドミッションポリシー
- 人間に対する関心を持ち、生命の尊厳を重視できる人
- 責任感と倫理観を備え、社会性を兼ね備えた人
- 生涯学習を行い自己研鑽することができる人
- 看護師として、基礎学力を有している人
- 協調性があり、高いコミュニケーション能力を備え、多職種連携に意欲を持つ人
- 保健医療分野の指導的役割を担う意欲のある人
- 課題意識を持って科学的に探究し保健・医療に貢献ようとする意欲のある人
アセスメント・ポリシー
「アセスメント・ポリシー」とは、学生の学修成果の評価について、その目的、達成すべき質的水準、評価の具体的実施方法などについて定めた学内の方針です。埼玉医科大学短期大学では、三つの方針(ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシー)に基づき、機関(短期大学)レベル、教育課程(看護学科・専攻科)レベル、科目(授業)レベルの3段階で学修成果等を査定する方法を定めています。なお、機関レベルは、本学の三つの方針の所に記載してありますので、参照してください。
専攻科 母子看護学専攻
修業年限 | 1年 |
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入学定員 | 20名 |
修了要件 | 必要修得単位数32単位以上 |
取得資格 | 助産師国家試験受験資格 受胎調節実地指導員申請資格 日本周産期・新生児医学会公認 新生児蘇生法講習会(Aコース)の受講修了および試験受験資格 |
授業科目
区分 | 授業科目 | 単位数 | 内訳 | 学年配当時間 | |||||
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必修 | 選択 | 講義 | 演習 | 実習 | 前期 | 後期 | |||
専 門 科 目 | 基礎助産学 | 助産学概論 | 1 | ○ | 15 | ||||
女性の基礎科学 | 1 | ○ | 30 | ||||||
母子の基礎科学 | 1 | ○ | 15 | ||||||
性行動科学 | 1 | ○ | 15 | ||||||
母性の心理・社会学 | 1 | ○ | 15 | ||||||
家族社会学 | 1 | ○ | 15 | ||||||
母子栄養学 | 1 | ○ | 15 | ||||||
健康教育 | 1 | ○ | 15 | ||||||
母子看護学研究Ⅰ | 1 | ○ | 15 | ||||||
母子看護学研究Ⅱ | 2 | ○ | 60 | ||||||
小計 | 7 | 4 | 210 | ||||||
助産診断・技術学 | 周産期の健康科学 | 1 | ○ | 30 | |||||
妊娠期の助産診断・技術学 | 2 | ○ | 45 | ||||||
分娩期の助産診断・技術学 | 3 | ○ | 60 | ||||||
産褥期の助産診断・技術学 | 2 | ○ | 45 | ||||||
新生児期の健康科学 | 1 | ○ | 30 | ||||||
新生児期の助産診断・技術学 | 1 | ○ | 30 | ||||||
小計 | 10 | 240 | |||||||
地域母子保健 | 地域母子保健学Ⅰ | 1 | ○ | 15 | |||||
地域母子保健学Ⅱ | 1 | ○ | 15 | ||||||
小計 | 2 | 30 | |||||||
助産管理 | 助産管理 | 2 | ○ | 15 | |||||
小計 | 2 | 15 | |||||||
臨地実習 助産学実習 | 周産期援助実習 | 3 | ○ | 135 | |||||
分娩期援助実習 | 6 | ○ | 270 | ||||||
地域母子保健実習 | 1 | ○ | 45 | ||||||
助産管理実習 | 1 | ○ | 45 | ||||||
健康教育実習 | 1 | ○ | 45 | ||||||
小計 | 11 | 1 | ○ | 540 | |||||
合計 | 32 | 5 | 1035 |
カリキュラム構造図
実習施設
臨床実習(分娩介助、保健指導、新生児のケア等)
- 埼玉医科大学病院(毛呂山町)
- 埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター(川越市)
- 小川産婦人科・小児科(坂戸市)
- 霞澤産婦人科医院(東松山市)
- 愛和病院(川越市)
- 清水病院(坂戸市)
- 瀬戸病院(所沢市)
地域での実習
地域母子保健実習
- 飯能市保健センター
- 鶴ヶ島市保健センター
- 毛呂山町保健センター
- 日高市保健相談センター
- 川越市総合保健センター
助産管理実習
- 助産院もりあね(所沢市)
- 中島助産院(熊谷市)
- はとがや助産所(川口市)
専攻科長メッセージ
近年、女性の労働や結婚・子育てに関する考え方は、大きく変化し多様化しています。そして、女性がライフステージ毎にもつ健康課題も様々に変化しています。この変化を正しく捉え、女性と子ども、そして家族に寄り添い、継続的かつ包括的に支援をするための能力〔助産診断力と基礎的な助産実践力〕を身につけ、健康をサポートできる助産師を養成しているのが埼玉医科大学短期大学の専攻科です。
本学専攻科の特徴は、妊産褥婦や胎児・新生児に対する基礎的な助産診断・技術を学ぶだけでなく、高度な医療を提供している法人内の「総合周産期母子医療センター」「地域周産期母子医療センター」に勤務する医師や助産師から現況をふまえた知識を直接学ぶことができることです。
カリキュラムは、1年間の学習期間の前期に殆どの講義を終了し、後期に助産学実習(臨地実習)の機会を設け、助産師になるための学習を効果的に統合学習できるように取り組んでいます。さらに、学生の皆さんが、学内で学んだ知識を十分に活用し対象に提供できるよう教員・指導者が連携し、個々の学生の学習進度に沿った指導を心がけています。助産師としての基礎的な学習を身に付けながら、さらに目指す助産師像を具体的にイメージし膨らませて頂けると思います。さらに、学内生活が充実した学生生活となるようにアドバイザー制を導入し、個々の学生の学習や相談にも対応しています。
助産師の道は狭いと言われますが、本学専攻科は助産学を学びたい方を幅広く募集しています。大学や短期大学で学んだ方は勿論のこと、看護に関する養成所で学んだ方、また保健師や看護師として勤務経験がある方も入学し共に学んでいます。
どうぞ助産師への第一歩をどうぞ本学専攻科で学んでください。