大学時代に学んだ多彩な分野の知識を生かし、患者さんが退院を迎える日まできめ細かな支援を続ける。

2024.10.28

日常の観察を徹底し、一人ひとりの細かな変化を見逃さない。

私は心臓に疾患を持つ小児を対象に、急性期の入院管理を行っています。対象となるのは生まれて間もない新生児から、中学校を卒業する年齢の子どもまで。先天性心疾患の場合は15歳以上も診るので、幅広い世代の患者さんに接します。今後は外来診療にも関わる予定です。埼玉医科大学では基礎を丁寧に教わり、臨床現場で通用する土台を築くことができたと感じます。

例えば、心不全の状態を捉えるには、心臓の筋肉を構成する細胞の働きを考慮する必要がありますが、ここには細胞生物学の知識が生きています。診療を行う上で注意しているのは、患者さんのわずかな体調の異変も見落とさないこと。心疾患の患者さんは容態が急変することが多いのですが、前兆として摂取した水分量や食事量、尿量や体重などの変化が表れます。小さなサインを見逃さないよう、日頃から綿密なコミュニケーションを心掛けています。重症だった患者さんが回復し元気に退院する姿を見送る時にやりがいを感じます。退院時に手紙と折り紙のメダルをプレゼントしてもらったことが、今でも励みになっています。

生命に大きく関わる循環器の分野で、痛みや苦しみを取り除く医療に力を注ぐ。

私が医療分野を志したのは、人が抱える痛みや苦しみを少しでも減らしたいという思いがあったからです。この気持ちは私の原点かもしれません。中学生の頃に人の病気に興味を持ち、命を救うという大きな役割を担う医療関係の仕事を考えるようになりました。当時の担任の先生に相談したところ「目指すなら医者じゃないか」と背中を押され、医学の道へ進むことを決意。さまざまな角度から医療を学ぶうちに、血流や心臓の構造など、目に見える要因が病気につながっている循環器の分野に関心を持ちました。心疾患は重症化しやすい反面、医療が介入することで大きく回復する可能性もあります。そこに貢献しようと、心臓科を志しました。研修医として小児科で勤務していた際にかわいい子どもたちの健康を守りたいと感じ、現在の職場である小児心臓科に入局。これからも小児循環器の道を究めるべく、子どもたちと向き合い続けます。

“埼玉医科大学ならでは”の魅力
面倒見の良い先生と心強い同期の仲間

大学で得た人間関係は一生の宝物です。数名の学生に一人の先生が付き、勉強の進捗などの相談に応えるアドバイザー制度や、全員合格を目指して行われる国家試験対策など、面倒見の良い先生方からサポートを受けられる環境が整っています。また、共に学んだ同期とは今も連絡を取り合い、気軽に相談などをしています。異なる診療科の視点を知ることができ、いい刺激になっています。

埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科 野々宮 瑞紀 先生(2016年3月卒業)

大学卒業後、初期研修を経て埼玉医科大学病院小児科に専攻医として勤務。大学時代から循環器医療に関心を寄せ、2022年4月より現職。現在はカテーテル検査やICU管理など、急性期の患者の入院管理を担当している。

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