麻酔科医に求められる幅広い知識と技術を駆使し、手術のダメージから患者さんを守り抜く。
大学時代に学んだ良医の精神を貫き、一瞬も油断できない麻酔科医の仕事に挑む。
小学2年生の時に髄膜炎という病気で入院し、治療に携わってくださった医師や看護師の方々の姿を見て、医師を目指すようになりました。現在は、埼玉医科大学病院麻酔科に勤務し、手術のために全身麻酔を受けた患者さんの身体の管理を行っています。麻酔中は人工呼吸器が必要になる上、手術の刺激によって血圧の変動が大きくなります。これらの反応から患者さんを守ることが、我々の大きな仕事です。少し目を離した間に患者さんの状態が悪くなることがあるため、一瞬の隙も許されません。また、麻酔科で習得した知見や技術を生かし、週1回ペインクリニックの外来診療も担当。原因不明の痛みが続く患者さんに対して、診察や治療を行っています。大学の建学の理念にある「生命への深い愛情と理解と奉仕に生きるすぐれた実地臨床医家の育成」とは、すなわち患者さんの気持ちを考えて医療を行う医師を育むことだと私は考えています。埼玉医科大学で受けた教育は、日々の診療において揺るがない土台となっています。
患者さんの回復を支えるため、日進月歩の医療技術を学び続ける。
麻酔科医には、手術の刺激から身体を守るだけでなく、人工呼吸器の管理や集中治療といった、重篤な患者さんを助けるための知識が求められます。私は初期研修で多様な分野が関わる麻酔科医の仕事に興味を持ち、この道へ進むことを決めました。状態の悪かった患者さんが緊急手術を経て元気になり、退院する姿を目にした時は、心から嬉しく思います。また、慢性的な痛みで苦しんでいた患者さんの症状が改善され、今まで通りの生活ができるようになった際にも、医師としてやりがいを感じます。麻酔科医はなかなか入院病棟に赴くこともありませんし、患者さんと顔を合わせる機会も少ないのですが、手術後にお礼を言いに来てくださることもあります。
高齢化の影響で、今後ますます手術を受ける患者さんの平均年齢は上がります。一方で麻酔薬の改良も進み、以前は高齢のため行えなかった手術も可能になるでしょう。しかし、年齢に比例して合併症を抱えるケースは増え、安全に手術を完結できる状況が求められるため、医療はさらに複雑になっていきます。私たち医療人は最新の知識や技術の習得が必要になり、現場で働きつつ勉強を続けることが大切だと肝に銘じています。
“埼玉医科大学ならでは”の魅力
国際水準の医学を学び広い視野を養う環境
埼玉医科大学は期待する医療人像の一つとして「国際水準の医学・医療の実践」を掲げています。そのため意欲のある学生は学生相互交換留学制度によって、海外の医学部で学ぶことができます。私も学生時代にドイツの病院で実習する機会に恵まれました。他国から留学してきた医学生と話す機会もあり、国際的な視野を養える環境だと思います。
埼玉医科大学病院 麻酔科 三枝 勉 先生(2008年3月卒業)
大学卒業後、埼玉医科大学国際医療センターに勤務し、埼玉医科大学病院麻酔科に異動。その後、アメリカのUCSD(UniversityCalifornia, San Diego)に約2年間留学し、現職の埼玉医科大学病院麻酔科へ配属。